ふっくらとした赤ちゃんの足。かわいいですね。ハイハイからつかまり立ち、やがてヨチヨチ歩きを始め乳児から幼児へと足も成長していきます。この時期に間違った靴選びをすると、大人になってから足や体のトラブルを引き起こすことがあります。お子さんが将来靴で苦労することのないようまずは、パパ、ママがお子様の足について知識を持ち正しい靴選びの方法を身につけましょう。
さあ、これから一緒に足と靴の正しい知識を身につける旅にでかけましょう。
子供の足の成長と構造を知りましょう。
人の身体全体の骨の数はおおむね206個あります。そのうち足の骨は片足に大小合わせて26個。両足で見ると52個、つまり全体の4分の1の骨が足に集中しています。そしてこれらの骨が集まって関節でつながり、身体を支えバランスを取りながら立ったり歩いたりしています。足に合わない靴を履くと足の骨格に異常をきたして外反母趾を発症したりタコ・ウオノメなどに苦しむことになります。
……とここまでは大人の足のはなし。
実は子供の足の骨の数は大人のそれより少ないのです。骨自体も「軟骨」のように柔らかい部分が多く、関節面もしっかり結合していません。化骨(かこつ)といって個人差はありますが、16〜18歳くらいまでに大人の骨へと成長していきます。この間の靴選びは、その子の足の健康の一生をきめてしまうといっても過言ではありません。
大人ですら足に合わない靴を履いてトラブルを起こすわけですから、未発達の子供の足に合わない靴を履かせ続けたら、足だけでなく体全体にも悪い影響を及ぼします。外反母趾・内反小趾・タコ・ウオノメ・偏平足など以前は大人の足のトラブルといわれていた症状が子供の足に蔓延し始めています。
あなたのお子さんは大丈夫ですか?
※「ゆび」に該当する漢字は一般に「指」を使いますが、手の場合には「指」を、足の場合には手と区別するため「趾」の漢字をあてています。
健やかな足の成長のために気をつけたいこと。
足の趾(ゆび)は本来、大地をつかんで蹴り歩くために非常によく運動する箇所です。趾を使った運動、つまり走ったり歩いたりすることで、土踏まずが鍛えられます。ところが、外遊びが少なくなり移動手段も車を使うことが多くなった子供達は、足趾の運動量が少ないので、土踏まずが未発達、または足の趾がつかない等、弊害もおこっているようです。幼い時期から時には裸足になって芝生や土・砂等自然な大地の上で、伸び伸びと歩かせ足本来の機能を育ててあげましょう。
また靴を選ぶ時は、健全な足の成長のために、つま先を締めつけず、カカトがしっかりと留る足に合った靴を選んであげることが大切です。
足趾を使って歩ける靴は足の健康に良いばかりか脳を鍛えることにもつながります。靴は、足、身体、脳を育てる大切な道具とも言えますね。
★つま先は扇形、甲は紐やマジックでシッカリ止まり、カカトもシッカリした靴を選ぶ

合わない靴で起こる足のトラブル
母趾の付け根の関節がずれて、脱臼を起こした状態。幅の狭すぎる靴を履き続けると発症しやすく、歩くたびに足に痛みを覚えるようになります。
皮膚の角質症の一種です。芯があるのが特徴で、趾の間や趾の先、足裏の趾の付け根などによくできるようです。原因はつま先の細い靴、あるいは大きすぎる靴を履いていると足が前滑りを起こし趾が圧迫を受けるため発症し痛くて歩行困難になることもあります。手術やウオノメ取りで取り除く方法がありますが、靴を換えないと再発を繰り返します。
爪に起こる変形。母趾の特に爪の内側に起こります。爪の端が肉に巻き込まれ、食い込んだようになってしまいます。巻き込んだ部分にゴミがたまりやすく、細菌に感染したり炎症を起こしやすく、化膿すると、触っただけでもいたく、靴が履けなくなります。つま先の細い靴でいつも爪を圧迫していたり、また、靴が大きすぎて歩くたびに足が前方にすべって爪が靴のつま先にあたっているせいです。
足趾が山形に曲がってしまう変形。第2趾や3趾に起こります。長さの足りない靴の中に足を押し込めていたり、大きめの靴が脱げないように趾に不自然に力を入れたりすると曲げた関節がそのまま固まり、もとに戻らなくなります。
これらのほとんどは合わない靴を履くことによって起きます。いったん変形してしまった足はなかなか元へは戻りにくいのです。こうなってしまう前に、成長に合わせ足に合った靴を正しい履き方をすることが大切です。
次回「土踏まずと中敷きのお話」から「靴の正しい履き方」まで